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鋼の諸性質におよぼす合金元素の影響(参考)

ステンレス鋼

元素名	ステンレス鋼におよぼす添加元素の影響
C	強力なオーステナイト化元素。オーステナイト結晶粒界にCr 炭化物を析出し粒界腐食を起こす。 種々の元素と化合物をつくり硬さ、強度を増す。
Si	フェライト化元素、耐酸化性を増す。多量に加えるとじん性を低下する。脱酸材として使用される。
Mn	S Se などと化合物をつくり被削性を増し、赤熱ぜい性を防止する。オーステナイト化元素で、Ni の 約半分の能力がある。N と親和力があり、ステンレス鋼のN 吸収力を増す。
P	熱間加工性を害し機械的性能を劣化する。オーステナイト項に適量を加えると熱間強度を増す。
S	熱間加工性を増す。Mn Mo Te ・・・などと結合して被削性を増す。
Cu	オーステナイト化元素。硫酸イオンに対して耐食性を改善する。析出硬化を起こし、強度を増す。熱間 加工性を害する。
Ni	オーステナイト化元素。耐食性を増す。熱間強度を増す。オーステナイト・ステンレス鋼の基本元素。
Cr	フェライト化元素。１２%以上加えると耐食耐酸化性を著しく増す。熱間強度を増す。ステンレス鋼の 基本元素である。
Mo	複炭化物をつくり焼き戻し抵抗性を増す。熱間強度、耐クリープ性を増す。硫酸イオンに対し耐食性を 改善する。
V	焼き戻し抵抗性を増し、二次硬化しじん性、強度を増す。炭化物をつくり、耐クリープ性を改善する。 強力なフェライト化元素。
W	強力な炭化物をつくり、焼き戻し抵抗性を増し、熱間硬さ強度を増す。
Co	いちじるしく耐クリープ性強度を増す。
As	熱間加工性を害する。
Sn	熱間加工性を害する。
B	粒界に析出し熱間硬さ強度を増す。微量添加で過時効を抑制し、耐クリープ性を増す。O とN との親和力 が強く安定した添加が困難である。結晶粒微細化、熱間加工性を向上する。
Ti	強力なフェライト化元素で安定した炭化物をつくり、オーステナイト・ステンレス鋼の粒界腐食を防止する。 炭化物金属化化合物をつくり耐クリープ性強度を増す。析出硬化して強度を増す。結晶粒を微細化する。 O N と化合しやすく清浄度を害しやすい。
Se	被削性を増す。
Zr	フェライト化元素。S と化合物をつくり被削性を増す。種々の化合物をつくり、熱間強度を増す。結晶粒を 微細化する。脱硫効果大、赤熱ぜい性防止。
Nb	強力なフェライト化元素。炭化物をつくりオーステナイト・ステンレス鋼の粒界腐蝕を防止する。耐クリー プ性、熱間強度を増す。結晶粒を微細化する。じん性改善となる。
Te	被削性を増す。熱間加工性を害する。
Pb	被削性を増す。オーステナイト系ステンレス鋼では熱間加工を困難にする。
Al	強力なフェライト化元素。Ni などと金属間化合物をつくり、析出硬化し強度を増す。１３Cr ステンレス鋼 に添加しフェライトを増加させ、溶接割れを防止する。耐酸化性を増す。脱酸剤として使用される。
O	酸化物を作り加工性を害する。強度、じん性を害する。
N	強力なオーステナイト化元素。オーステナイト鋼の耐力を上昇させる。高温強度を増す。低温のじん性を 害する。
H	高Ni ステンレス鋼の溶鋼中に多量に溶け込み、凝固時析出しピンホールを形成しやすい。熱間加工時毛割れ の原因となる